昔々この辺りは
山渓がきわめて険しく、また、川は深くて淵となって、長く連なって流れていました。淵には大蛇が住んでおり道往く旅人の道行きを妨げていたといわれています。
白鳳時代に行基(ぎょうき)という僧侶がこの大蛇を退治して一塊石(御堂前の蛇繁石)をたてて、地蔵菩薩を彫刻し安全を祈祷されたとつたえられています。
後にこの溝渕を埋めて開墾した時お堂を建ててお祀りしたといわれたことからこの地を蛇溝と云うようになったそうです。
また地蔵菩薩は、雨乞地蔵、子安地蔵、町内鎮護の地蔵として信仰を集め、かっては縁日に草競馬や草相撲が催され露店も軒を並べたということです。なお現代のお堂は嘉永三年(1850)に再建されたものです。
地蔵菩薩は八日市市史の中では完全寄木法という優れた彫法で南北時代に彫られたと記されており、像高19.3センチメートルの座像です。
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